2006年08月31日

演劇について考えていること(坂手洋二講師)レポート

【第一日目】
 
■日時:2006年8月24日(木) 18時〜21時
■場所:北海道教育文化会館 研修室402号室
■講師:坂手洋二
■参加者:11名(役者・演出家・専門学校生など)

■内容
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18:00
坂手氏の自己紹介からワークショップスタート。「どんなワークショップを想像していましたか?」という坂手氏の質問に、参加者のほとんどが、座学形式で坂手氏の演劇論を聞いたり、参加者がお互いに演劇について話し合う様なワークショップを想像していると答える。

「結論から言うと、演劇はひとりでやるものではなく、したがってひとりで演劇について考えることはできない。演劇とは時間や他者と共に考えるもの」という坂手氏のお話があり、「じゃあ、まずは飛んでみましょう」と、余計な説明がないまま、参加者の座る椅子を取り払い全員が円になって飛び始める。
 
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「1時間飛び続けられる、一番シンプルな形をみつけてください」という指示のもと、2人組で向き合ってお互いの飛び方を観察したり、相手に自分の飛び方の特徴を指摘してもらう。「まっすぐに飛ぶことをイメージしたとき、どこに意識を持ってきますか?」という質問があり、参加者からは「自分では少し曲がっていると感じる飛び方のほうが、見ている側にはまっすぐに見える」「丁寧に飛ぼうとして、速度がゆっくりになる」「身体を固めて飛んでしまう」」等、まっすぐなイメージで飛ぼうとするとき、意識したことについて意見が出る。
 
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「今回はワークショップの時間が短いので種明かしをしますが、芸として利用できる体や意識を手に入れる際、一番基本の、真っ白なキャンバスのような状態を基本に持つ必要があるのではないか。シンプルに飛ぶという事を見つけると、その真っ白いキャンバスの状態を手に入れる事ができる。」と、坂手氏から1時間飛ぶ理由の説明がある。
シンプルに飛ぶ際、意識するポイントのヒントとして、@目の高さに視線を置く。Aあごを上げない。B緊張の癖を知る。等アドバイスがあり、それらを意識しながらさらに飛び続ける。「自分の身体で重いところはどこだろう?」「飛ぶ際、いつ呼吸をしている?」「一番楽に飛べる方法はなんだろう?」という坂手氏の質問を受けて、参加者がそれぞれに発見したことを坂手氏のアドバイスを交えながら方法として取り入れ、さらに飛ぶ。
 
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ディスカッションの時間を挟みながらも1時間を過ぎた頃から、参加者にも疲労が見え始める。そのため飛び方も、一番疲れない、そぎ落とされた方法へと変化してゆく。「重さに任せる」「体の重さのそれぞれがバランスを取る」「飛ぶ際に息を吐くことで、相対性を持つ」という基本を意識しながら、ディスカッションを交えて2時間、「飛ぶ」というシンプルな運動に費やしながら、「真っ白いキャンバス」の状態を参加者全員で見つけてゆく。
 
 20:00
「順番は逆ですが、自己紹介をしましょう」とここで初めて参加者たちが自己紹介を行う。紹介の方法はふたつ。ひとつは自分の呼んでもらいたい名前の紹介。「のむ、テッシー、コン、ジョン」など、呼んでもらいたい名前を参加者に伝える。もうひとつは「普通の自己紹介と北方領土について考えている事を教えて下さい」という内容に沿って、各自が行っている演劇活動と、樺太から引き上げた祖父の言葉などが交錯した自己紹介になる。
 
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その後、ホワイトボードに台詞が書かれ、「どうしても受かりたいオーデションだと思って、この台詞を言ってください」と坂手氏から指示がある。1分程のわずかな時間を挟んで、ひとりずつ発表。
 
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「政治家の記者会見」「離婚の際の妻の言葉」など、各自が考えたシュチエーションを発表後、「今度は誰か協力者を連れて同じ台詞を言ってください」と指示がある。1分後、再び発表。
 
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発表者から状況の説明があったり、見ていた側が状況を当てたりしながら、3人組、4人組、と人数を増やし、様々な状況を創作して同じ台詞の発表を繰り返す。最後に「ではもう一度、三年後くらいに戦争が起こり、日本が敗戦し、ボロボロの状況の中、どうしても受かりたいオーディションでこの台詞を与えられたつもりでやってみてください」と坂手氏より指示があり、1分後に発表。
 
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「捕虜になって敵国の兵士の前で言っている」「戦後エロが氾濫し、ピンク映画のオーディションなのだが、慣れていないぎこちない感じ」「笠木志津子のように、元気に明るくバカに徹して」「オーディションには来てみたが、何でこんなこと言わなきゃいけないのかと、どうでもよくなっちゃう感じ」と、それぞれが考えた状況を説明後、坂手氏より「これは昭和21年の東宝のオーディションで実際に使われた台詞。このときの合格者が三船敏郎」という種明かしがある。
終戦一年後に実際に行われたオーディションや、「わたしはバカだった 本当にバカだった バカだった」という台詞の意味、合格した三船敏郎という役者のことなど、各自が同じ台詞を与えられ演じた一時間とすり合わせながら想像する。
 
ひとつの台詞が孕んでいるドラマの大きさ、絶対に受からなければならないオーディションという与えられた状況への想像力など、いろいろに思い知らされる一時間。「役者を志す方は一見をおすすめします」と、黒澤明監督、三船敏郎主演「白痴」の話など交えながら、一日目終了。

 
文・橋口幸絵(ワークショップ参加者)
posted by sapporo at 01:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 2006年の演劇大学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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