2009年01月27日

2008年/本ゼミレポート3

■ ゼミ第三日目
■日時:2009年1月14日(水)19:00〜22:00   

<『15分ハムレット』の演出ノートを聞く>

 昨日まで、何度も役者を変えながら練習した「15分ハムレット」、7チームが編成されて順番に稽古が行われました。
今日は、青井さんから演出ノートが伝えられ、さらに細かく稽古しました。

 距離感や向き、どの方向に向かって話すかなどのチェック。意識の流れを確認することで流れとリズムをつくっていきました。

・セリフの中にある、どこ、いつをはっきり意識すること。
・セリフの言葉の中にある意識に中を向ける。

さらに、激しく役者が動き回ることでダイナミックな表現に近づいてきました。しかし、走り回って立ち位置に行くだけでもなかなか難しく、汗を流しながらの稽古となりました。


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 何度も『15分ハムレット』を稽古を繰り返していくと、見えてくるモノがあります。一見、実際の『ハムレット』から重要なセリフを抜き出しただけのように見えるこの台本。
 しかし、実際は、言葉のもつリズムや温度を極限まで残してあるため。短い中にも「劇」としての「圧縮」⇒「爆発」が随所にみられます。
 この短い芝居を成立させる台詞のスピードは、並大抵のものではないようです。このスピードを感じることで、リアル『ハムレット』をほんの少しだけ体感できるのかもしれません。

文:実行委員 渡辺豪
 

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2008年/本ゼミレポート2

■ゼミ第二日目
■日時:2009年1月13日(火)19:00〜22:00   


<『15分ハムレット』のミザンセーヌ(立ち位置決め)>
チームの変更もあるという前提で、ミザンセーヌをはじめました。
まず、オリジナルメンバーに選ばれたのは・・・
  
ハムレット⇒北川さん
  レィアティーズ・他⇒赤沼
  墓堀・他⇒立川
  オフーリア⇒鈴木
  ガートルード⇒槙
  シェイクスピア・他⇒横尾


1454.JPG 

スタンバイ位置を決めて、最初の40分ほどで、第四場までの導線を設定。
 休憩の後、さらに40分ほどですべて場面のミザンセーヌが終わりました。舞台階段の段数、位置が細かく指示されます。

1455.JPG

 

結果的に役者達はその立ち位置目指して走り回ることになり・・・まるで徒競走のようです。
 最後に同じメンバで動きをもう一度確認してから、次の組み合わせで行いました。前回のメンバーが動きのプロンプターになり。新しいチームの動きを確認しました。


文:実行委員 渡辺豪

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2008年/本ゼミレポート1

 
演劇大学in札幌2008のレポートです。

 今回の演劇大学in札幌は講師に青井陽治さんをお招きし、「演出者や俳優が戯曲と向き合う一週間」というテーマですすめられました。今回とりあげた戯曲はシェイクスピアの「ハムレット」。
 世界一有名な古典演劇を使い、講師・青井陽治さんは何を語るのか?そこに北海道の演出家、俳優はなにを見るのか?
 先行きの見えぬ緊張と期待の中、演劇大学が幕開けしました。

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■ゼミ第一日目
■日時:2009年1月12日(月)13:00〜20:00     

<『15分ハムレット』の読み合わせ>

 今回の講義では、トム・ストッパード作『15分ハムレット』を使うことになりました。この戯曲は、数時間ある大作『ハムレット』を15分間に圧縮して行うという奇跡のような作品です。この戯曲を使いながら、『ハムレット』に触れていこうという講義の設計図です。

 今日は、まず、読み合わせ。


145.jpg
 
  まず、名簿順にチームをつくり、その順番に役を割り振り、読みあわせをしました。ト書きは、青井さんに読んでいただきました。
 「間違いはかまわないので、まずは元気よく話して下さい」と、青井さんからの指示。それでも、やはり参加者全員、緊張の様子が否めません。

 最初の読み合わせの後、全体として下記のようなことを、アドバイスいただきました。
 ・機械的に読むのではなく、話すように心がけましょう。 
 ・正確な標準語アクセントをブラッシュアップしましょう。
 ・鼻濁音をしっかり発音できるようにしていきましょう。


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 ここで、青井さんから、鼻濁音について面白い話。


〜鼻濁音は日本語の大切な要素だ。地域により、鼻濁音のある地域とない地域があるが、標準語には不可欠だ。
 一般に若い世代になるほど不得意とされている。一方、方言(地域語)の衰退、テレビ・ラジオ・映画などによる全国的標準語化の影響で、無意識のうちに、時には鼻濁音の存在すら知らない人が、鼻濁音を正しく発していることもある。
関西弁など、本来、鼻濁音のない地域語を使っている人が、鼻濁音を発している場合も増え、一概に絶滅傾向にあると言えない。
 いずれにしても、音数の少ない日本語を表現の道具とする私たちにとっては、鼻濁音を使えないのは、武器を一つ捨てるに等しい。
 古典芸能はもちろん、放送関係者、演劇・映画関係者にとって、鼻濁音は基本常識だったが、新劇、テレビは、今や怪しい。浄瑠璃は関西に生れたものだが、鼻濁音にはやかましい。興味深い。
日本語には母音が五つしかない。先進国の言葉の中では極端に少ない。英語には1808の音素があると言う。日本語は108。
 日本人が外国語を苦手とするのは、聞き取れない音は発音を真似できないからだ。また、発音能力自体も、(比喩的にだが)口の中が1808に分れている人と、108にしか分れていない人とでは、精度が違うのは明らかだろう。
 しかし、音声の単純さと、反対に語彙の豊かさは、日本語の類い稀な美点でもある。五つの母音を正確に豊かに発音することは、日本語表現者にとって、基本だ。〜

とのことでした。何気なく使っている日本語ですが、知らず知らずのうちに杜撰に発音していることが多い私達。自分の言葉に敏感になることも大切だと感じました。


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 次に、講義の進行についてお話しいただきました。

今回は、6人でチームをつくり、『15分ハムレット』の稽古とかります。発表が目的ではないにしろ、それぞれのチームとも発表できる形までは稽古できれば・・・とのことでした。

その後、休憩時間を使い、一人一人面談をしながらキャスティング。

 短い休憩の後、青井さんから
「下手であること、経験がないこと、さらにいうと才能がないことは罪ではない。自分でいいと思っていて、芝居が悪辣であることが一番罪深い。」という厳しい指摘の後に、希望者を6人募って、再度読み合わせ。

 その後も、さまざまなグループ分けで、読み合わせしました。


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 読み合わせの後、アクセントの違うということが指摘されました。北海道の言葉は訛りが少ないと勘違いしていましたが、意外に多いことにびっくりでした。
 青井さんから・・・
「明日からグループ分けし、役を決めてやってみようと思います。バランスの問題なので、いろいろな役を楽しみながら、いろいろなチームを出入りしながらやってみましょう。ぜひ、楽しんでやって下さい」
とのことでした。

突是のリクエストなんですが・・・ということで、田中、鈴木、高崎3人が舞台上で宿題だったオフィーリアの独白を演じました。また、宮田、山崎、中川原も同じ独白を行いました。
 このゼミの中では、『15分ハムレット』の戯曲に触れながら、プレゼミで宿題だったハムレットの第一独白、オフィーリアの独白にも触れ行くと言うことでした。


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その後、皆でイスを動かし、舞台をつくりました。通常は客席に使っている場所を舞台としました。コンカリーニョの段差がある客席が今回の舞台です。


1452.JPG

 その後、ハムレットの第一独白に5人の学生がトライ。

 まず、自分でやってみた感想。

A:言葉におっかけられて、流れてしまった。速さに体がついて行かなかった。
青井:本当にシェイクスピアするなら、まだ遅い。しかし、僕はよくしゃべれていたと思う。
B:台詞を思い出そうとしていた。練習のようにはできなかたった。
C:自分で練習していたときはナチュラルに出来たが、階段になっているのを使いたいと余計な気持ちが入ってしまった。
D:心が折れそうになるのと戦った。わら。階段はとてもおもしろい。どこがどういうセットか考えるとおもしろくなった。
E:階段を意識したが、そこにいてしまった。練習より台詞が出なかった。


1453.JPG

 まわりからの感想

・聞こえないところがある。
・いろいろ動ききわるより、前向いて話してもらった方が印象に残った。台詞がおっかけていることや、セリフをきかせようという自意識が頭に入ってきた。
・台詞を聞きたいと思った。動きよりも耳に集中する感じがした。
・段が在る舞台で動くと音がして、台詞がきえてしまったいた。
・セリフの意味を聞かせるのではなく、意識の流れを丁寧に表現するべきではないだろうか。

青井さんからは以下のような、アドバイスを頂きました。

@台詞の大きさ
⇒「作家の書いた言葉を汚さずに観客に届ける」ことは、「台詞を語る」基本だ。適切な大きさで明瞭に。観客に「聞こえる」ことは、最低限の条件だ。
 しかし、よく言われる「舞台では口を大きく開けて話す」ことは、日本語の性質に反する。むしろ、口の中を縦に大きく開けることが、自然で正しい。

A歩く音
⇒板の上を自然に歩いて音を立てないことも俳優の基本だ。舞台の床(または、装置の表面)は、設定とは異なる音を立てる。袖に入って(観客の視界から消えて)も油断してはならない。
 (しかし一方、バレエのトウの音、新派の下駄の音など、本来は違和感を感じさせる音が魅力的に聞こえる時は、その舞台のできが良い時だ。異物がバロメーターの役割をしてくれる)

B舞台の上での約束 
⇒袖幕に触らないことも、舞台の基本だ。イリュージョンと現実の境目に鈍感であってはならない。
 もともとは舞台の空間としてどの劇場にも額縁があった。額縁のない舞台が美しいということ流行始めたのは1960年ゴロ。それに格好良いとあこがれて、現在のような額縁のない舞台が多くなっている。

C役者に絶対に必要なこと
⇒俳優の基本能力として、集中力は重要だ。未熟な段階の俳優でも、集中力は自分の責任で養うことができる。言い換えれば、集中力は個々の俳優の責任だ。
 役者が最初に培わなければらなないのは「集中力」。途切れない集中力が、若い役者の才能の大半である。

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 最後に、青井さんから、今日のまとめとして以下のような話がありました。

舞台は嘘=虚構の世界だ。

一方、20世紀以来、演劇は基本的にリアリズムの時代にある。私たちは、真実を求められている。
 そんな中、観客が唯一嘘をついて欲しいのは、「時間」である。劇の中では、実際の時間よりも時間の進み方が早いことが基本だ。良い演劇の条件でもある。
 「静かな演劇」は、演劇独特の(と誤解されている)「大きくはっきり」したしゃべり方や演劇的身振りを廃すことから名付けられたものだが、視点を変えると「劇中の時間経過が現実の時間経過と同じ」演劇とも言える。
 ミュージカルの醍醐味は、加速のついた劇中の時間経過に、音楽によって更にターボがかかる点にある。
 
 『15分ハムレット』の時間は特別だ。圧縮された300分のドラマを、更に15分に圧縮したのだ。
時間と意識、イメージの激流。時速160キロのスピードでヘアピン・カーブ連続の山道を登り下りする――そんな15分だ。

1週間で『ハムレット』を仕上げるのは不可能だ。今回はふたつの正反対のアプローチを試みる。
 一つが『15分ハムレット』だ。この戯曲の求める、凄まじいエネルギーとスピードを体感する。ロードマップを読み、ドライブのシミュレイションをする。
 もう一つが「第一独白」。こちらは対照的に、ピンポイントで井戸を掘る。台詞の構築の仕方と語る技術の初級編を学ぶ。最初の扉をノックするだけだが、しなくてはならない作業の奥深さを知る。
 独白はものの1分。この作業を300倍しなければ、『ハムレット』は舞台にかけられないと言うことを知る。

俳優も演出家も、劇作家の魂にすべてを捧げるのが仕事だ。それだけが、自分自身の表現に到達する道だ。


文:実行委員 渡辺豪
 

posted by sapporo at 22:21| Comment(6) | TrackBack(1) | 2008年/本ゼミレポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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