2009年01月27日

2008年/本ゼミレポート3

■ ゼミ第三日目
■日時:2009年1月14日(水)19:00〜22:00   

<『15分ハムレット』の演出ノートを聞く>

 昨日まで、何度も役者を変えながら練習した「15分ハムレット」、7チームが編成されて順番に稽古が行われました。
今日は、青井さんから演出ノートが伝えられ、さらに細かく稽古しました。

 距離感や向き、どの方向に向かって話すかなどのチェック。意識の流れを確認することで流れとリズムをつくっていきました。

・セリフの中にある、どこ、いつをはっきり意識すること。
・セリフの言葉の中にある意識に中を向ける。

さらに、激しく役者が動き回ることでダイナミックな表現に近づいてきました。しかし、走り回って立ち位置に行くだけでもなかなか難しく、汗を流しながらの稽古となりました。


****************************


 何度も『15分ハムレット』を稽古を繰り返していくと、見えてくるモノがあります。一見、実際の『ハムレット』から重要なセリフを抜き出しただけのように見えるこの台本。
 しかし、実際は、言葉のもつリズムや温度を極限まで残してあるため。短い中にも「劇」としての「圧縮」⇒「爆発」が随所にみられます。
 この短い芝居を成立させる台詞のスピードは、並大抵のものではないようです。このスピードを感じることで、リアル『ハムレット』をほんの少しだけ体感できるのかもしれません。

文:実行委員 渡辺豪
 

posted by sapporo at 23:05| Comment(59) | TrackBack(1) | 2007年/告知 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年/本ゼミレポート2

■ゼミ第二日目
■日時:2009年1月13日(火)19:00〜22:00   


<『15分ハムレット』のミザンセーヌ(立ち位置決め)>
チームの変更もあるという前提で、ミザンセーヌをはじめました。
まず、オリジナルメンバーに選ばれたのは・・・
  
ハムレット⇒北川さん
  レィアティーズ・他⇒赤沼
  墓堀・他⇒立川
  オフーリア⇒鈴木
  ガートルード⇒槙
  シェイクスピア・他⇒横尾


1454.JPG 

スタンバイ位置を決めて、最初の40分ほどで、第四場までの導線を設定。
 休憩の後、さらに40分ほどですべて場面のミザンセーヌが終わりました。舞台階段の段数、位置が細かく指示されます。

1455.JPG

 

結果的に役者達はその立ち位置目指して走り回ることになり・・・まるで徒競走のようです。
 最後に同じメンバで動きをもう一度確認してから、次の組み合わせで行いました。前回のメンバーが動きのプロンプターになり。新しいチームの動きを確認しました。


文:実行委員 渡辺豪

posted by sapporo at 22:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 2008年/本ゼミレポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年/本ゼミレポート1

 
演劇大学in札幌2008のレポートです。

 今回の演劇大学in札幌は講師に青井陽治さんをお招きし、「演出者や俳優が戯曲と向き合う一週間」というテーマですすめられました。今回とりあげた戯曲はシェイクスピアの「ハムレット」。
 世界一有名な古典演劇を使い、講師・青井陽治さんは何を語るのか?そこに北海道の演出家、俳優はなにを見るのか?
 先行きの見えぬ緊張と期待の中、演劇大学が幕開けしました。

__________________________________


■ゼミ第一日目
■日時:2009年1月12日(月)13:00〜20:00     

<『15分ハムレット』の読み合わせ>

 今回の講義では、トム・ストッパード作『15分ハムレット』を使うことになりました。この戯曲は、数時間ある大作『ハムレット』を15分間に圧縮して行うという奇跡のような作品です。この戯曲を使いながら、『ハムレット』に触れていこうという講義の設計図です。

 今日は、まず、読み合わせ。


145.jpg
 
  まず、名簿順にチームをつくり、その順番に役を割り振り、読みあわせをしました。ト書きは、青井さんに読んでいただきました。
 「間違いはかまわないので、まずは元気よく話して下さい」と、青井さんからの指示。それでも、やはり参加者全員、緊張の様子が否めません。

 最初の読み合わせの後、全体として下記のようなことを、アドバイスいただきました。
 ・機械的に読むのではなく、話すように心がけましょう。 
 ・正確な標準語アクセントをブラッシュアップしましょう。
 ・鼻濁音をしっかり発音できるようにしていきましょう。


****************************

 ここで、青井さんから、鼻濁音について面白い話。


〜鼻濁音は日本語の大切な要素だ。地域により、鼻濁音のある地域とない地域があるが、標準語には不可欠だ。
 一般に若い世代になるほど不得意とされている。一方、方言(地域語)の衰退、テレビ・ラジオ・映画などによる全国的標準語化の影響で、無意識のうちに、時には鼻濁音の存在すら知らない人が、鼻濁音を正しく発していることもある。
関西弁など、本来、鼻濁音のない地域語を使っている人が、鼻濁音を発している場合も増え、一概に絶滅傾向にあると言えない。
 いずれにしても、音数の少ない日本語を表現の道具とする私たちにとっては、鼻濁音を使えないのは、武器を一つ捨てるに等しい。
 古典芸能はもちろん、放送関係者、演劇・映画関係者にとって、鼻濁音は基本常識だったが、新劇、テレビは、今や怪しい。浄瑠璃は関西に生れたものだが、鼻濁音にはやかましい。興味深い。
日本語には母音が五つしかない。先進国の言葉の中では極端に少ない。英語には1808の音素があると言う。日本語は108。
 日本人が外国語を苦手とするのは、聞き取れない音は発音を真似できないからだ。また、発音能力自体も、(比喩的にだが)口の中が1808に分れている人と、108にしか分れていない人とでは、精度が違うのは明らかだろう。
 しかし、音声の単純さと、反対に語彙の豊かさは、日本語の類い稀な美点でもある。五つの母音を正確に豊かに発音することは、日本語表現者にとって、基本だ。〜

とのことでした。何気なく使っている日本語ですが、知らず知らずのうちに杜撰に発音していることが多い私達。自分の言葉に敏感になることも大切だと感じました。


****************************

 次に、講義の進行についてお話しいただきました。

今回は、6人でチームをつくり、『15分ハムレット』の稽古とかります。発表が目的ではないにしろ、それぞれのチームとも発表できる形までは稽古できれば・・・とのことでした。

その後、休憩時間を使い、一人一人面談をしながらキャスティング。

 短い休憩の後、青井さんから
「下手であること、経験がないこと、さらにいうと才能がないことは罪ではない。自分でいいと思っていて、芝居が悪辣であることが一番罪深い。」という厳しい指摘の後に、希望者を6人募って、再度読み合わせ。

 その後も、さまざまなグループ分けで、読み合わせしました。


****************************
                                             
 読み合わせの後、アクセントの違うということが指摘されました。北海道の言葉は訛りが少ないと勘違いしていましたが、意外に多いことにびっくりでした。
 青井さんから・・・
「明日からグループ分けし、役を決めてやってみようと思います。バランスの問題なので、いろいろな役を楽しみながら、いろいろなチームを出入りしながらやってみましょう。ぜひ、楽しんでやって下さい」
とのことでした。

突是のリクエストなんですが・・・ということで、田中、鈴木、高崎3人が舞台上で宿題だったオフィーリアの独白を演じました。また、宮田、山崎、中川原も同じ独白を行いました。
 このゼミの中では、『15分ハムレット』の戯曲に触れながら、プレゼミで宿題だったハムレットの第一独白、オフィーリアの独白にも触れ行くと言うことでした。


****************************

その後、皆でイスを動かし、舞台をつくりました。通常は客席に使っている場所を舞台としました。コンカリーニョの段差がある客席が今回の舞台です。


1452.JPG

 その後、ハムレットの第一独白に5人の学生がトライ。

 まず、自分でやってみた感想。

A:言葉におっかけられて、流れてしまった。速さに体がついて行かなかった。
青井:本当にシェイクスピアするなら、まだ遅い。しかし、僕はよくしゃべれていたと思う。
B:台詞を思い出そうとしていた。練習のようにはできなかたった。
C:自分で練習していたときはナチュラルに出来たが、階段になっているのを使いたいと余計な気持ちが入ってしまった。
D:心が折れそうになるのと戦った。わら。階段はとてもおもしろい。どこがどういうセットか考えるとおもしろくなった。
E:階段を意識したが、そこにいてしまった。練習より台詞が出なかった。


1453.JPG

 まわりからの感想

・聞こえないところがある。
・いろいろ動ききわるより、前向いて話してもらった方が印象に残った。台詞がおっかけていることや、セリフをきかせようという自意識が頭に入ってきた。
・台詞を聞きたいと思った。動きよりも耳に集中する感じがした。
・段が在る舞台で動くと音がして、台詞がきえてしまったいた。
・セリフの意味を聞かせるのではなく、意識の流れを丁寧に表現するべきではないだろうか。

青井さんからは以下のような、アドバイスを頂きました。

@台詞の大きさ
⇒「作家の書いた言葉を汚さずに観客に届ける」ことは、「台詞を語る」基本だ。適切な大きさで明瞭に。観客に「聞こえる」ことは、最低限の条件だ。
 しかし、よく言われる「舞台では口を大きく開けて話す」ことは、日本語の性質に反する。むしろ、口の中を縦に大きく開けることが、自然で正しい。

A歩く音
⇒板の上を自然に歩いて音を立てないことも俳優の基本だ。舞台の床(または、装置の表面)は、設定とは異なる音を立てる。袖に入って(観客の視界から消えて)も油断してはならない。
 (しかし一方、バレエのトウの音、新派の下駄の音など、本来は違和感を感じさせる音が魅力的に聞こえる時は、その舞台のできが良い時だ。異物がバロメーターの役割をしてくれる)

B舞台の上での約束 
⇒袖幕に触らないことも、舞台の基本だ。イリュージョンと現実の境目に鈍感であってはならない。
 もともとは舞台の空間としてどの劇場にも額縁があった。額縁のない舞台が美しいということ流行始めたのは1960年ゴロ。それに格好良いとあこがれて、現在のような額縁のない舞台が多くなっている。

C役者に絶対に必要なこと
⇒俳優の基本能力として、集中力は重要だ。未熟な段階の俳優でも、集中力は自分の責任で養うことができる。言い換えれば、集中力は個々の俳優の責任だ。
 役者が最初に培わなければらなないのは「集中力」。途切れない集中力が、若い役者の才能の大半である。

*********************

 最後に、青井さんから、今日のまとめとして以下のような話がありました。

舞台は嘘=虚構の世界だ。

一方、20世紀以来、演劇は基本的にリアリズムの時代にある。私たちは、真実を求められている。
 そんな中、観客が唯一嘘をついて欲しいのは、「時間」である。劇の中では、実際の時間よりも時間の進み方が早いことが基本だ。良い演劇の条件でもある。
 「静かな演劇」は、演劇独特の(と誤解されている)「大きくはっきり」したしゃべり方や演劇的身振りを廃すことから名付けられたものだが、視点を変えると「劇中の時間経過が現実の時間経過と同じ」演劇とも言える。
 ミュージカルの醍醐味は、加速のついた劇中の時間経過に、音楽によって更にターボがかかる点にある。
 
 『15分ハムレット』の時間は特別だ。圧縮された300分のドラマを、更に15分に圧縮したのだ。
時間と意識、イメージの激流。時速160キロのスピードでヘアピン・カーブ連続の山道を登り下りする――そんな15分だ。

1週間で『ハムレット』を仕上げるのは不可能だ。今回はふたつの正反対のアプローチを試みる。
 一つが『15分ハムレット』だ。この戯曲の求める、凄まじいエネルギーとスピードを体感する。ロードマップを読み、ドライブのシミュレイションをする。
 もう一つが「第一独白」。こちらは対照的に、ピンポイントで井戸を掘る。台詞の構築の仕方と語る技術の初級編を学ぶ。最初の扉をノックするだけだが、しなくてはならない作業の奥深さを知る。
 独白はものの1分。この作業を300倍しなければ、『ハムレット』は舞台にかけられないと言うことを知る。

俳優も演出家も、劇作家の魂にすべてを捧げるのが仕事だ。それだけが、自分自身の表現に到達する道だ。


文:実行委員 渡辺豪
 

posted by sapporo at 22:21| Comment(6) | TrackBack(1) | 2008年/本ゼミレポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年12月18日

演劇大学in札2008 プレゼミ・レポート

■日時:2009年11月29日(土)19:00〜22:00   
        11月30日(日)10:00〜18:00

■場所:生活支援型施設コンカリーニョ
■講師:青井陽治 
■参加者:30名
■見学者:1名
■内容

20081201_402952.jpg

 一線で活躍されている演出者の皆さんと札幌の演出者が共同で作品に触れ
るという内容で始まった昨年の「演劇大学in札幌2007」。一変して今年は、
「札幌の演出者や役者は、戯曲を読み、話すことができているのか?」という疑
問から端を発し、講師に青井陽治さんを招いて、シェイクスピア『ハムレット』に
取り組むこととなりました。

 『ハムレット』を通し、「俳優が戯曲と向き合う一週間」。そのプレゼミとして今
回の二日間が用意されました。このプレゼミまでに、青井さんから出された宿
題・・・

 ・『ハムレット』(シェイクスピア 大場建治訳) 
 ・『欲望という名の電車』(テネシー・ウィリアムズ 青井陽治訳)
 ・『動物園物語』 (エドワード・オールビー 青井陽治訳)
 ・『ソフィストリー』(ジョナサン・マーク・シャーマン 青井陽治訳)
 ・『あなたまでの6人』(ジョン・グエア 青井陽治訳)

 上の5つの戯曲を熟読してくることとのことでした。どの戯曲も現代の演劇を
考える上ではキーとなる作品ばかりです。それぞれに味わい深い戯曲と向か
い合った後のプレゼミとなりました。


____________________________________


081129_1902~0001.jpg

■プレゼミ第一日目(11.29)

 <戯曲を読み解く>

 今回の主要テキスト『ハムレット』についての講義が行われました。
 まず、戯曲『「ハムレット』について。

 今回、青井さんが指定されたのは大場健二さんの訳でした。最初に「何故この訳
なのか?」が語られました。現在さまざまな訳者によって訳された『ハムレット』が出
されていますが、原文の語順やリズムに一番忠実で、意味的にも過剰な装飾に走
らず、的確に原文の内容を伝えているのが大場訳なのだそうです。
 なるほど、大場訳『ハムレット』は、原文と併せて対訳という形でレイアウトされてお
り、もともとシェイクスピアが書き記したリズムに近く訳されていることが確認できます。

 原書の力強く美しい文体自体を、元に近い形で味わうことができます。語順、語
感、リズムにこだわることも戯曲を読み解く上では大変重要であるとお話しいただき
ました。

 また、戯曲を読み解く上で大切なことは、その当時の世相、風俗など多岐にわたる
考察はもちろん、初演当時の劇場の構造とそれがもたらす舞台と客席の関係性を知る
ことが重要であるという話に、青井さんは触れられました。

 有名な『ハムレット』の数カ所の独白も、当時のグローブ座の構造と観客席の関
係・距離を考えると、内心の独り語りというよりは、物語の進行を一旦止めて、観客
と語り合う時間だったのではないかとい見解も示されました。これには、目から鱗が
落ちる思いでした。

  その他にも、青井さんは、〈戯曲を読み解く〉という視点から、熟読が宿題と
なった戯曲にも、さまざまな角度から触れられました。また、それに付随して、現在
の日本の演劇をめぐる状況も語られ、奥が深いものとなりました。

<国語の時間から演劇の時間へ>

 さまざまな楽しい話も混ぜて語られた前段の〈戯曲を読み解く〉の話から一転し
て、後半は「俳優の仕事」「演出者の仕事」が中心となり、シリアスに語られまし
た。

 青井さんが再三話されたことは、演出家や俳優が「戯曲を読む」ということは「台
詞の内容解釈も重要だが、文体を理解することが何より重要」ということです。

 感想文を書くなら、国語の時間の読解力で事足りるが、演出家や俳優の理解は
それでは入り口に立ったに過ぎない。台本に書かれていることをきちんと理解する
ことは当然だが、それで演技はできない。観客や読者や評論家にはできない読み
込みに踏み込まなくてはならない。「演劇の時間」は、そこから始まる。

 それが、1月のテーマになるようです。

 その時、語られなければならないのは、「文体」であるというのが、青井さんの講
義の根幹でした。「国語の時間」的解釈に留まっていては、芝居にならないだけで
なく、俳優の自由が阻害されてしまうという点も話されていました。

 文体を語る。
 文体と戯れる。

 様式性の強い演劇はもちろん、いわゆる「リアリズム」の演劇の場合も、この感覚
は大切だと考えます。むしろ、「リアル」という「文体」と認識することによって、
表現はより的確に、自由になると、青井さんは強調します。

 舞台の演劇に完全な、または、単純なリアリズムは存在しません。劇場という場所
で、繰り返し上演されることを考えれば、当然のことです。どんなに「現実」に近く
見えても、さまざまな約束事を、俳優と観客が共有しなければなりません。それを
「様式」と呼ぶなら、この世で一番リアルな演劇にも、様式はあるのです。

 「文体」とは、まさにこの「リアル」と「様式」の比率に他なりません。両方を一
時にひとつの身体に内包し、体現するのが俳優の仕事です。演出家が真っ先にしなく
てはならない仕事は、戯曲ごとに異なるその配分の比率を明確にすることです。それ
に従って、演技だけでなく、舞台美術の様式も、衣装や照明や音響など、舞台を形作
るあらゆる要素の「文体」を統一したり、時に故意の逸脱を謀るのが、演出家の仕事
であると語られました。

 これは、私たちが芝居を創る時、当然のこととして対峙しなければならない問題で
す。それと向き合うことを学ぶのが、この演劇大学の趣旨であると、受講生は受け止
めています。

___________________________________



081129_1903~0001.jpg

■プレゼミ第二日目(11.30)

<行為に変換し得る会話体の文学>

 二日目は『ハムレット』の台詞に、実際に触れる作業に進みました。
 まずはその準備です。『ハムレット』の台詞について、具体的な講義がなされました。

 この戯曲の特色は、ブランク・ヴァースという、独特の英語で書かれていることです。
それがどのように訳されているか、上演の質に結びつく重要な問題として取り上げられ
ます。

 『ハムレット』は、主人公のハムレット王子が語る6つ(7つと数えられることもある)の
独白が有名です。その最初の独白を取り上げ、青井さんの講義は進んで行きました。

 前日での講義でもあったように、単に台詞の意味を語るのではなく、戯曲を「行為
に変換可能な会話体の文学」と捉え、台詞から立ち上がるドラマを探り当てる取り組
み方が、繰り返し説明されました。

 その中で、熟読が課題となっていた『動物園物語』『欲望という名の電車』などに
も触れ、ドラマの根底にある「対立」を、いかにして読み解くかが、例題として検証
されました。

 『欲望と言う名の電車』の場合、その登場人物ブランチとステラが、日本の上演で
は「対比」の構造として提示されることが多く、「対立」を読み取れない日本人の弱
点が示されました。それでは二人のアイデンティティーが見えてこないことを青井さ
んは指摘します。生きている芝居には、「対立」構造が必要であることも、強く訴え
ていらっしゃいました。


<ハムレット第一独白から> 

 そのような戯曲のとらえ方のアウトラインを話された後は、いよいよ『ハムレッ
ト』の第一独白についての講義となりました。まず、この独白の(と限らず、すべ
ての台詞を考える時)俳優は、それを真実と捉え、一生懸命うまくしゃべろうとする。

 ・しかし、この台詞をハムレットは好んで話したいわけではない。彼にとって、言い
  たいことではない。
 ・この台詞をどこまで話したら気がすむのか、ハムレット自身もわからない。
 ・途中で邪魔が入って、言い終らないうちに、宴席へ呼ばれてしまうかも知れない。
 ・つまり、ハムレットは、この長い独白の一言一言を「最後の一言」として話さなけ
  ればならない。

俳優が、まじめに、長台詞を、ひとつのまとまりとしてしゃべればしゃべるほど、台
詞の性質と食い違って行く。

 どこでブレス(息継ぎ)をするかということの重要性など、テクニカルな内容にも
青井さんの講義は言及して行きました。

 ・台詞を構築する作業は、煎じ詰めればブレス・プランを作ること。
 ・息の切れ目は意識の切れ目。

 この他に、台詞のサブテキストを作る時に必要なこととして次のようなことを挙げ
られました。

 ・この台詞は真実なのか、嘘なのか
 ・嘘だとしたら、その人は嘘だと認識しているのか、無意識なのか
 ・言いたいことなのか、言いたくないことなのか
 ・言葉が発せられる時、頭の中には、どんな意識・イメージがあるのか
 ・それはどこで切り替わるのか

ハムレットを演じる多くの俳優の間違いはどこで生じるのか。

 ・独白を上手に演じようとしたがるがために、一言一言を「最後の一言」として語
  れない。
 ・流れの美しさに足を取られ、「予定されたひとかたまりの言葉」として語ってし
  まう。
 ・台詞の意味と役の人物の意識をつなげられない。


<ブレスポイントと意識の流れ>


 「俳優は台詞の解釈を語るのではない。台詞を行為し、意識を語り、文体と戯れ
る」という、青井さんの講義の中によく登場したのは、サンフォード・マイズナーと
いうアメリカの演技指導者です。

 メソッド演技の厳密な構築性に加えて、どうしたらその構築性によって演技を硬直
させることなく、20世紀後半以降の時代に相応しいライヴ性を獲得して、メソッドを
古びさせないかを実践した改革者ということです。

 一方で青井さんは、マイズナーに踏み込む前に、メソッド演技(または、それと同
様の演技の構築法)を学ぶことが先決だと強調されました。

 しかし、演技にライヴ性を加えられるだけでなく、マイズナー・テクニックで分析
できる戯曲は古典の中にもあり、更に近年には、マイズナー・テクニックを前提に書
かれた戯曲さえあると聞くと、興味を持たずにはいられません。

  マイズナー・テクニックのトレーニングは、自分の中にある衝動(パルス)を感じる
センサーの精度を上げることが目的なのだそうです。しかし、そのパルスを根拠に、
パフォーマンスのライヴ性を上げるのはともかく、そのパルスで戯曲を読み解く作業
ができる、まして、マイズナー・テクニックで書かれた戯曲さえあると言われると、
興味はふくらむけれど、うかつなアプローチはできないなとも思います。

 青井さんも、「マイズナー・テクニックは誤解されやすい。早呑み込みは危険だ」
と言われます。トレーニングも、非常に繊細なものらしいです。

  正しい理解への第一歩として、これまで感情を根拠に分析し、語ろうとしていた台
詞を、意識で分析し、語ろうとする。そこから始めては、というのが青井さんの考え
方です。
 
 「感情」から「意識」へ。


 「性格」による分析から、一方で「DNA」に根拠を求め(前世の記憶)、一方で想定
外の刺激に対して、性格を超えて反応する現代人の行動体系を発見する「超性格」
へ。

  「国語の時間の理解から演劇の時間の理解へ」というテーマが繰り返されます。そ
れなくして、正しい「リアル」も「文体」もあり得ない。「意識」で台詞が分析でき
れば、意識の変わり目に「呼吸」の変わり目が一致することにも、気がつくはず。
「台本はいくつもの意識の流れのダイアグラム」という言葉も聞かれました。
 
 今回の演劇大学の課題は、このあたりにありそうです。


************************
 
<本ゼミに向けての課題>

 本ゼミに向けて青井さんから幾つかの宿題がでました。

@ハムレット第一独白を勉強すること。暗記できるまで、何度でも読む(暗記しよう
 としてはいけない)。

Aノートを作る。
 ★ハムレット第一独白をノートの左端に書く(1ページ1行なのでかなりのページ数
  になる)。
 ★ページの余白を自分の考察で埋める。
  ・まず、書き写した台詞の右隣の行に、自分なりの「現代標準語訳」を書く。
 ・次の行に、自分が使っている最も日常的な言葉で「自分語訳」を書く。方言のあ
  る人は是非方言 で。
 ・次の行には、「心の台詞」、つまり、サブテキストを書く(数行を使って、数通
  りの可能性を書けたら 書く)。
  ・次の5行には、ハムレットの五感が現在感じているものを書く。
 ・次の5行には、台詞(意識)が現在以外の時間に行っている時、その時間にいるハ
  ムレットが五感 に感じているものを書く。(この時も、ハムレットが現在・現実の
  時間で五感に感じているものは書く)

 ここまでやっても15行程度。まだ、ノートには右側に余白が残っているから、思い
ついたことを、すべて書く。

Bオフィーリアの独白についても、同じ作業を行う。(大場版『ハムレット』3-1 
 p165  L146)

C本ゼミで使う予定の、トム・ストッパード『15分ハムレット』を熟読する。 

 二日間のプレゼミから学んだことを、本ゼミにつなげる橋渡しとしての課題です。
 「演出家と俳優は、どのように戯曲に触れるべきか」という、原始的な疑問から端
を発した今回の演劇大学ですが、講義の内容は、私たちが今一番必要とする深みに立
ち入って行きます。

さらに、ドラマを創り上げるというシンプルな楽しみにも、同時に触れている気がし
ます。


文:実行委員 渡辺豪

posted by sapporo at 17:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 2008年/プレゼミレポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月28日

札幌の演劇大学について

P1010510.jpg


演劇大学札幌実行委員長 清水友陽


  札幌の演劇大学は、昨年の夏で5回目を迎えた。「それぞれの方法論で現に創造し続けている人たちに触れる体験」ができる場所が札幌の演劇大学であるという考え方は、03年に始まったときから現在まで変わっていない。05年から、札幌や近郊で活動している演出家で実行委員会を組織し、学長の羊屋白玉氏と共に、内容の検討から運営までを行っている。制作、劇場との連携も次第に整ってきた。俳優に対してのワークショップが中心であったが、試行錯誤を重ね、昨年は演出家・演出について考える内容となった。

 演劇大学2007札幌では、参加する演出家、俳優たちは、まさに学生となりゼミナール形式で「演劇を研究する」というテーマで、5日間のワークショップと、最終日に研究発表のためのショウイングを行った。青井陽治氏、岡田利規氏、羊屋白玉氏、それぞれのゼミに札幌の演出家が2名づつ、計6名が参加。3会場に分かれ、時間帯を昼の部(13時〜17時)と夜の部(19時〜22時)に分けた。その6コマのどこかに、やはり札幌の俳優が参加し、1クラス5〜10名程度でのゼミとなった。

 各ゼミに参加する札幌の演出家は、それぞれ何を研究するのか、テキストが必要ならば何を使うのかを事前にまとめ、1ヶ月程前に東京と横浜で、講師と打ち合わせを行った。打ち合わせのための準備を含めると、それぞれの演出家は少なくとも2ヶ月ほど、自分で決めた課題と向き合うことになり、有意義な演劇大学5日間を過ごせた。

 いくつか反省点も出た。期間中、時間的にも内容もタイトだったので、他のチームを覗き見る余裕がなかった。何かしら、ゼミ同士が交流できる方法を考えるべきではないか。厚みを考えると、1講師に1演出家というのはどうだろうか。演劇大学期間中だけではなく、プレでもアフターでも、「演劇の話」ができる環境を整えるためにはどうしたらよいだろうか。演劇大学のショウイングの意味は何だろうか、必要だろうか(エンターテイメントなのか、研究発表なのか)。

大前提として、「演劇大学札幌は、現に演劇作りに関わるものが、自らの演劇創作の糧となるべく企画して参加するもの」であるということを、改めて確認した上で、演劇大学2008札幌の企画を検討してきた。6月上旬には、総会と称した交流会を開催、30名ほどの演劇関係者が集まった。昨年のゼミから1年とちょっと経ち、それでは今年は何を獲得して行くべきか。問題のひとつに、札幌の演出家の、俳優に対して語る言葉の曖昧さが浮かんできた。札幌の演出家と札幌の俳優が現場で向き合うために必要なことを体験するにはどうしたらよいか。夏頃から実行委員を中心に試行錯誤した結果が今回の演劇大学2008だ。俳優が戯曲と向き合う一週間。戯曲がある。俳優がいて、演出家がいて、「演劇」といわれるものが作られていく。それは本当か?今、演劇の現場でその作業はまっとうに行われているのだろうか?そんなことを、一緒に考えてゆけたらいいと思う。


 

posted by sapporo at 19:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 2008年/告知 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

講師紹介

aoi2.JPG 

青井陽治
 

69年、劇団四季演劇研究所入所。多数の舞台に出演。同時に翻訳・訳詩・劇作も行う。76年よりフリー。以降、海外作品の上演、ミュージカルの創作、更に新派の演出まで、独自の世界を築く。読売演劇大賞優秀演出家賞(2回)、湯浅芳子賞を受賞。

 
主な作品に「真夜中のパーティ」「トーチソング・トリロジー」「あなたまでの6人」「ラヴ・レターズ」「エリザベス・レック」「海の上のピアニスト」「GODSPELL」「42nd STREET」「ヘドヴィグ」など。07年、蜷川幸夫演出「恋の骨折り損」にて25年ぶりに舞台復帰。 

posted by sapporo at 19:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 2008年/告知 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

戯曲紹介

hamlet.JPG
 

「ハムレット」


作・ウィリアム・シェイクスピア(1564〜1616)。

「マクベス」「オセロ」「リア王」と並ぶシェイクスピアの四大戯曲のひとつ。デンマーク王子ハムレットの復讐と苦悩の物語。ほかのシェイクスピア作品と同様、世界中の言語に翻訳され上演が繰り返されている。日本語訳も多数あり、舞台のほか映画でも数多く作品化されている。

posted by sapporo at 19:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 2008年/告知 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月26日

演劇大学in札幌2008 告知

演劇大学08 kokuti.PNG

「演劇大学in札幌2008」



戯曲と向き合う一週間。



____________________________________


pure.PNG

2008年11月29日(土)・30日(日)

プレゼミ 講師:青井陽治 

戯曲「ハムレット」とその周辺事象、その他の優れた戯曲についてのガイダンスを行います。プレゼミ後、1月までの一ケ月あまりを「ハムレット」とじっくり付き合ってみてください。

期間◎2009年11月29日(土)  19:00〜22:00   
      11月30日(日)  10:00〜18:00

会場◎生活支援型施設コンカリーニョ

受講費◎一月分受講費8000円に含まれます。


_____________________________________


yoru.PNG

2009年 1月12日(月)〜18日(日)

「ハムレット」と青井陽治と俳優の7日間。

夜ゼミ 講師:青井陽治


「ハムレット」を前に、青井陽治は俳優に対して何を語るのか?そのとき俳優は何をすべきなのか?優れた戯曲と演出家と俳優。3者がとことんまで向き合う7日間。
     11月29日・30日のプレゼミへの参加が必要です(2日とも)

期間◎2009年1月12日(月)〜18日(日)

時間◎12日(月)  13:00〜20:00
   
   13日(火)  19:00〜22:00
   
   14日(水)  19:00〜22:00
   
   15日(木)  19:00〜22:00
   
   16日(金)  19:00〜22:00
   
   17日(土)  13:00〜22:00
   
   18日(日)  13:00〜17:00

会場◎生活支援型施設コンカリーニョ

受講料◎7日間 8000円 ※別途使用テキストを各自購入していただきます。

◆7日間全日程と、11月のプレゼミへの参加が条件です。
◆見学のみのお申し込みも可能です。参加料は同額の8000円。
◆11月のプレゼミのみの参加も可能です。
(その後、1月の講座の申し込みも出来ます)。
プレゼミへの参加のみの場合も受講料は同額の8000円です。

____________________________________

hiru.PNG

2009年 1月13日(火)〜16日(金)

日本の戯曲を読み解く!4日間。

昼ゼミ 講師:青井陽治

日本の近代〜現代の戯曲を読み解いてみましょう。新劇〜アングラ〜現在まで、その時々に現れた才能、生み出された戯曲たち。その系譜は?俳優・演出家に限らず、戯曲に興味のある方ならどなたでも受講いただけます。 

期間◎2009年1月13日(火)〜16日(金) 15:00〜18:00

会場◎生活支援型施設コンカリーニョ

受講料◎4日間 5000円

____________________________________


koetu.PNG

2009年 1月13
日(火)〜16日(金)

個別クリニック 講師:青井陽治 


参加者からのリクエストに応じて行う、特別の単発ゼミです!俳優・演出家からの相談(精神・身体・演出上のこと、劇団などの運営、進路などなど何でも)、個別の稽古など、参加者のリクエストに応じて設定します。 

◆1月の昼ゼミか夜ゼミの参加者が対象です。
11月 のプレゼミ以降に受講者を募ります。
 既往状況に応じてカリキュラムを設定します。
 演劇に関わることであればリクエストの内容は自由です。
見学も可能です。※全てのクリニックには見学者がいる可能性があります。 

期間◎2009年1月13日(火)〜16日(金) 15:00〜18:00


会場◎生活支援型施設コンカリーニョ


_____________________________________


atozami.PNG

2009年 1月20日(火)〜22日(木)

演劇について話し合う3日間。

 
後ゼミ アドバイザー:和田喜夫・羊屋白玉ほか

 
実行委員会やゼミ参加者を中心に「話合う3日間」です。今回の講座のこと、自分の演劇のこと・・・。ショウとしての「パネルディスカッション」ではありません。それぞれが、それぞれの問題を抱えて参加してください。 

期間◎2008年1月20日(火)〜22日(木) 19:00〜22:00

会場◎ターミナルプラザことにPATOS  



_____________________________________


◎お申し込み方法。

コチラ↓をプリントアウトして、コンカリーニョ宛てにFAXでお申し込みください。
mousikomi.PNG

生活支援型施設コンカリーニョ
FAX 011-615-4866

◎お問い合わせ

生活支援型施設コンカリーニョ
TEL 011-615-4859
_____________________________________


◎会場地図


 tizu.PNG



patps.PNG

posted by sapporo at 03:02| Comment(1) | TrackBack(0) | 2008年/告知 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月17日

NPO法人コンカリーニョ 理事長:斎藤ちずさんコメント

これ以前は2007年の演劇大学in札幌の記録です↓

演劇大学2007in札幌の会場としてお世話になりました「生活支援型劇場コンカリーニョ」・「ターミナルプラザことにPATOS」の理事長・斉藤ちずさんよりコメントを頂きましたので掲載いたします。


P1010528.JPG


「演劇大学」寮母の楽しみ

 かつて、15年位も前になるでしょうか?一役者として、様々な壁を感じ、勉強したいと思っていた時期がありました。まだ、札幌では演劇関係のワークショップはあまりなく、ダンスのレッスン場に通ったり、手当たり次第に異ジャンルのWSを体験したり・・・。

 猛烈に勉強したい時期というものがあるものなのでしょう。今年の演劇大学に集まった6人の道内の演出家たち、どうも、その猛烈に勉強したい時期なのでしょう。事前ミーティングから白熱していました。アルコールも入らずに延々と。今年「寮母」を名乗った私は、途中で飽きて、適当に差し入れして、「コンカリとパトス好きに使って、今、やりたいことやって〜」と言いながら、時々茶々を入れ。

 5年目になる札幌での演劇大学。羊屋学長、継続している実行委員の清水君、横尾君を中心にかつて猛烈に勉強したい女優であった私には、うらやましいくらいの事前準備2ヶ月、本番1週間でした。

 得たものはそれぞれ、その成果が形となって現れるのもきっと、それぞれ。もしかしたら、そんなに遠くない将来にその成果を目の当たりにできるかもしれないという期待も膨らませています。

 常々、日本の企業は優秀だなと感じていますが、その基礎には、大学から企業内部にいたるそれぞれの業界内でのたゆまない、無駄に終わるかもしれない研究があるのでしょう。現在の日本の中で、演出家や演技者が商品(=作品)以前の研究をできる場は、札幌だけではなく全国的に見ても、そう多くはないのだろうと想像します。しかし、海外の芸術大学の事例を見聞きすると、その基礎研究が必要なのだと感じます。今回の演劇大学開校式にあたる交流会でも、日本演出者協会の和田さんがオーストラリアの例を話されていました。共通基礎がある強さを感じました。うらやましい限りです。ただ、うらやましがっているだけでは進まないので、できることから。今年の演劇大学は、今、札幌の演劇に必要なその1歩目を踏み出したようなものを感じます。

 今年参加したメンバーの今後の作品と来年以降の演劇大学に期待大です。また、寮母さん、やって、意欲的な大学生たちと出会いたいものです。

NPO法人コンカリーニョ 理事長:斎藤ちず

posted by sapporo at 23:06| Comment(1) | TrackBack(0) | 2007年/感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月14日

感想文集

今年度の演劇大学参加者(役者として参加した皆さん)に、成果や感想を尋ねてみました。 

234.JPG


(1) 演劇大学に参加して体験したこと・考えたこと

☆感覚や勢いで進めるのではなく、言葉で理論的に整理することも可能で必要な手段であること強く思いました。講師の皆様に感謝です。自分の普段の感覚はフラットな状態でいつも持ち続けていようと思いました。
☆表現の奥深さ。人は臆病な生き物なんだって事と、共有する喜びとそれ以上の悲しみ。
☆体験したこととしては、脚本に真剣に向かい合う姿勢と感情で芝居をしないために必要なこと、です。考えたこととしては、芝居の奥の深さについてです、個人的に。芝居をすること、役者であることについて考えました、個人的に。
☆ワークショップへは初めて参加しました。長年演劇に触れてきましたが、「習う」としての演劇は初めてで(ベケツトの「クワット」をテキストに使用し)ひかれた線の上を一定の法則で歩くことを、全体のバランスを崩したらどうしようかと心配しながら行いました。普段使わない筋肉や脳をたくさん使って、若返った気がしました。
☆今まで感じてきたのとは違う種類の『面白さ』を感じました。今回体験した(羊屋×若菜ゼミの)ビューポイントは底がなくて、どこまでも深くて、何と言葉にしたら良いのか、やっている最中のあの気持ち良い集中力というか、あの感覚が本当に面白かったです。面白いという言葉は適当ではない気もしますが…とても面白い体験をしました。
☆一つの症状(できないこと)に対しての改善方法というのは一つではなく、また、その一つもどんどん掘り下げたり噛み砕いたりして処方することができることを体験した。
☆自分が参加したゼミ内でも、見学に行った他のゼミでも、「意識」について考えることになった。演技している中で、どこに意識を持っているのか、向けるのか、どれだけ素直に反応するのか、とても難しかったけど、新しい発見で、とても重要なことだと思った。
☆俳優がどう言葉を発しているのかということの「しくみ」を突っ込んで考えるということをしました。俳優は具体的な作業をするものなので、イメージを強くする必要があります。でもこのことは、独創的だったり、イメージの居場所を変えていくのではなく、イメージの面積を広げていく作業のことで、イメージがちゃんと体の中を走っているかどうか、イメージにぶらさがり言葉から離れることができているかどうかにとことんこだわる必要性を、そうそう、そうだよなと改めて噛み締めました。また、そのことを俳優と演出家との間で確認しながら進めていくことの重要性を再認識し、体験することができました。俳優のもつイメージをお客さんが想像して楽しめることが演劇にとってなくてはならないことなんだと改めて思いました。


P1010437.JPG

HASHIGUCHI.JPG


(2) 参加しての自分自身の成果や課題

☆たくさんの演劇人と知り合えたことが、成果です。
☆何が成長出来たか今の時点では解らないけどまだ自分は本当の優しさを理解してない。ただ答えを見つけようとせず、ぼんやりと感じたモノを大切にしたい。
☆今年がじめてでしたのでおそるおそる参加しましたが、参加(挑戦)することで得られることが沢山あることを体験しました。これが成果です。
☆方法によっては今まで出なかった力も出ることを知った。
☆普段稽古で気にしている課題を講師の岡田さん、ゼミ生の渡辺さんが明確に伝えてくれました。いちいち自分自身の中でしっくりきて、とてもとてもおもしろい日々でした。
☆演出家のためのワークショップだったので、少し客観的にその場にいられたのがよかったですし、芝居をする上で何を本質として稽古をすすめていくのか、演出家と役者、両者で理解しておかなければいけないですし、理解しあおうとすることの重要性など、これからの自分たちの作品づくりに役立つことばかりでした。作品を作ることがとても楽しみでしかたありません。とはいっても地道にですね。
☆「日常生活でこんな言葉使わねえよ!」ってセリフでも、きちんとイメージを持って、リアリズムをふまえて言えるようにならなければいけないことを学んだ。「イメージを保持したまま最後まで演技し通さなければならない」ということを学んだ。
☆全ての部分に力を入れすぎたりエネルギーを大量消費していたりしていたことに気がついた。☆「体の不自由さ」があるので、それを克服することが大切。セリフと段取りに気を取られていると、頭と体の動きが別々になってしまっていることは実感出来た。イメージを支える軸足をしっかりさせることが大切だと感じた。
☆お芝居を始めた頃に突き当たったテーマを、改めて確認する機会になりました。まだ消化不良ですが、今後に大きな影響を与えてくれることと思います。
☆今回学んだことは第一歩であって、俳優の仕事としてやるべきことはまだまだたくさんあることを忘れちゃいけないなと思っています。
☆(羊屋×伊藤若菜クラスで行った)ビューポイントをやっている最中の体は決して力むこと無く、ソフトフォーカスで広く周りを意識し、周りも私を意識している、丁寧に意識し合っているのがわかるあの感じました。それを今後の舞台に生かしたいです。特に私の演技は力みがちなので、力まずに自然な状態で舞台に立ち、周りのことも広く意識できるようになる、というのを今後の課題にしたいです。
もっと考えなければならないということ、色々な角度からのアプローチをしていくことの大切さを感じました。これからの大きな課題としていきたいです。
☆意識が一本しかないことを克服!自分の意識が向くことに正直に、正直に、素直に素直に反応できたい。
☆清水ゼミで題材にした「クウァッド」は結局なんだかわからないテキストでしたが、実際にやってみると意外と難しく、それゆえに演じる(?)ことに集中できる作品でした。
☆正直言って地味〜な演技はつまらなくて「大げさに動きたいー」とずっと考えてしまっていた。エネルギーが余ってしまっているのを感じたので、息を吐ききるのと同じように一本でエネルギーを出しきってしまうのがよいのではないだろうかと考えた。 


P1010556.JPG

MAKICLASS2.JPG



(3) 全体の感想など

☆あたしは参加して自分がへたくそだなぁ〜っとたくさん実感しました。
悔しさ半面、頑張るんだ〜っともすごく思えた期間でした。自分は所属する劇団以外の人や演出さんやお芝居のことを知らなかったので、演劇大学でいろんな人を見て話して、新しいことを知れてたくさんの良い刺激になったと思います。自分がもってる嫌な部分汚い部分ともすごくむきあえた大学で、うまくなることにすごく繋がったように思えました。とても楽しかったです。
1週間、本当にありがとうございました。今後も真剣に楽しく芝居をしていきたいと思っています。
☆演出家同士の横のつながりが持てたり、演出家の苦悩を間近で見れるのはとても面白く、俳優としても心に余裕が持てます。
☆みんな熱心で、初めてお会いした方々ばかりなのに凄く真剣に話し会えた。
☆それぞれの課題が明確にあって、演出と俳優が一丸となってクリアしていこうという姿勢が随所に感じられて、そこがとても気持ちよく感じました。
☆毎日新しいことを体験して、緊張もすごかったけど楽しかったです。今日はどうなるんだ?という楽しさでした。
☆普段の稽古ではその時の作品ややり方、演出家と役者の双方の感じ方や意見のやりとりをなかなか出来ないので、貴重な時間になったと思っています。
☆見学者がいたり、他の劇団の俳優さんと一緒に演技を出来たことは新鮮な刺激になりました。
☆ほかのチームの稽古を見学させてもらうことで、一度にたくさんの演出家・役者のみなさんのようすを拝見することができたので、とても貴重な経験になりました。
☆日常とは離れた芝居漬けの時間、普段の生活では使わない部分の脳(?)を使ってる感覚、そして久しぶりの大学生&札幌人生活を体験しました。
☆第1線で活躍している方々と実際に芝居について語り合えるなんて、なんて優雅なひと時だったのか、と感じました。
☆期間中、自分の今まで知らなかった面も見れました。他人の知らなかった面、意外な面も見れました。
☆スピードはとっても遅かったと思いますが、濃い感じがしました。自分の劇団で次の作品の取り組みたい!という気持ちが更に湧いてきました。
☆シンポジウムで札幌の演劇がぬるいとの意見がありましたが、今回参加して自分自身のぬるさを具合いが悪くなるくらい痛感しました。
☆自分の演劇観を大事にするのも大切だけど、それならなおさらこういう機会に飛び込んでいく芝居をやってる人が増えればいいなぁと思います。札幌の俳優の演劇への関心がうすいということも浮き彫りになった気がします。☆ワークショップで学んだことをショーイングで忠実に行おうとしましたが、客観的に観るとつまらないといわれました。身体の内で生まれた光を大切に大きくしていゆく過程です。まだ5日目に表現する物が、つまらなくて良いと僕は思います。もっとデキル人なら5日目でもすぐにできるのかもしれませんが、僕はあの舞台に立ったことだけで精一杯でした。
☆学んでいる事を楽しんでいました。環境が良くて、その流れに流されてました。自分自身に毎日課題を与えて悩み、授業に臨めばもっと成果が出たのではと後悔してます。


P1010519.JPG
show_wakana.JPG




(4) 劇大学への要望など

☆ずっと素晴らしい演劇大学を続けて下さい
☆役者に、力(いろんな意味で)を与えるワークショップを期待しています。
☆今回の演出ワークショップは、参加俳優にとっても大変刺激的で、次につながっていくようなものに感じられました。次回もこのようなタイプのワークショップがあるといいなあ、と思います。
☆もうすこし参加費が高くてもいいと思いました。参加者としては助かりますが、それ以上の価値があると思いました。
☆ライフスタイルのせいで参加できる時間が限られるので、昼間のゼミは残してもらいたい。
☆平行して役者のWSなども行うのはいかがでしょうか。また、「昨今の演劇事情」の講義なども聞いてみたい。
☆来年の大学の情報をメールで欲しいです。
☆今回6クラスありましたが、仕事をもっているとやはり1クラス受けるのが精一杯でした。他のクラスも受けたかったのが正直なところです。その辺がどうにかなったら嬉しいです。
☆今後も講師の皆さんをお呼びし、いずれは作品を一緒に作り、公演をしたいです。ですので、長いスパンで考えて、とびとびでも何ヶ月か継続して参加するというワークショップだといいなと思います。
☆少し残念なことに、講師とゼミ生(演出)のやりとりの時間が参加者としてはわりととぼんやりとした時間になっていたような気がします。演出家にとっては有益な場面でも、それが必ずしも参加者(俳優)にとって有益な場面であったかは疑問が残る場面もありました。
☆ショウイングの方法はもう少し整えた上で実行されるべきではと思いました。「なーなー」な内輪向けのような気がします。お客さんもいるのだし。ショウイングの方法、または事前に提示する方法を考えた方がいいと思います。



担当:渡辺豪


P1010427.JPG


posted by sapporo at 11:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 2007年/感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。